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2016年7月28日 (木)

二千九百五十七: 夏の思い出

          夏の思い出


  晴れた日の
  白くて大きな雲を見ていると、
  子供の頃の夏を思い出す。

  流れ続ける水道の水に
  転がされ続けるスイカ。
  水の音にも転がされているようだ。

  幾つもの穴の開いた セミの羽。
  その穴から、幾つもの陽射が こぼれてくる。

  夏休みの思い出が よみがえってくる。


                                        坂本  誠

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2016年7月14日 (木)

二千九百四十九:   梅雨〔つゆ〕のアジサイ

      梅雨のアジサイ


   黒い雲が低く垂れこめる。
   僕等の気持を押しつぶすよう。

   その雲から大きな雨粒が降り注ぐ。
   僕等の意志をうがつよう。

   梅雨の日に カサを傾けて 
   天の頂きを見上げても そこには 澄みきった青空はない。

   だけど 道ばたには
   多くの青いアジサイが咲いている。

   アジサイは 彼等がつぼみの頃の
   五月晴れを吸収していたのか。

   梅雨の空の下で
   青いアジサイを見て 今はない青空を感じる。

   そのアジサイは
   黒い雲の下に降りてきた 小さな青空。


                                        坂本  誠

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2016年6月30日 (木)

二千九百四十二:   コンタクト

      コンタクト


   星空を見上げていると
   一羽の鳥が降下していた。
   私に向かって。

   音楽で出来た
   薄紫の翼を ゆるやかに広げながら
   私を迎えにやって来た。

   その 透けた翼から
   数多(あまた)の星の光が 静かに降り注ぎ
   ゆっくりと 私を清めていく。

   宇宙の神秘に手を触れる その一時。

                                        坂本  誠

Yakei

2016年6月16日 (木)

二千九百三十五: 音とまどろみ

               音とまどろみ


   闇の中で
   音楽を聞いていると
   その音の線が 天に向かって
   流れ落ちる 白い煙のよう。

   健やかな せせらぎのように
   淡い光を 放ちながら
   上へ 上へと
   落ちてゆく。

   眠りの底へと 落ちてゆく
   私のまどろみの描く線と
   絡み合いながら

   私の意識の中心で
   その天の頂(いただき)と その眠りの底が
   音も無く 一つに融合し続けてゆく。

                                        坂本  誠

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2016年6月 2日 (木)

二千九百二十五:喜び

            喜び


    喜びは 光に似ている。
    また
    喜びは 空を舞う 鳥のよう。


                                        坂本  誠

2016年5月27日 (金)

二千九百二十一: 君のために

      君のために


   言葉の海につかって
   君にささげたい
   詩を編む。

   手を触れずに
   水滴の一つ一つを
   すくってゆく。

   僕の手の中で 言葉が鳥になって
   君に向かって飛んでゆく。
   やさしさを伝えるために。

   僕の心はチリヂリになりながら
   同時に
   君の中で一つになってゆく。

   君は僕の外にいた。
   僕は君の外にいた。
   だけど僕は今 君の心の中に入る。

   君も来いよ。
   僕の中へ。
   僕の心の中へ。


                                        坂本  誠

2016年5月11日 (水)

二千九百七: 音楽を聞きながら

       音楽を聞きながら


   私が猫を抱きたいのか
   猫が私に抱かれたいのか
   わからない。

   ただ お互い近づいて
   私は自然に猫を抱き 猫は自然に私に抱かれる。
   猫が私を抱いているのかもしれない。

   今にも眠りそうな 子守唄を聞きながら
   その音楽に沿って
   猫を そっと なでてゆく。

   音楽の やわらかな波のように
   触れるか 触れ合わない程に
   かすれるように 軽くなでてゆく。

   舟の漕ぎ手のように
   手をまねき続けると
   猫も私も まどろみの中。

   音の波と
   猫をなでる 手のまねきが
   重なってゆく。

   音楽の心と 私の心と 手のまねきが
   しなやかで 温かい猫の身体が
   一つに溶け合ってゆくかのよう。

   猫のぬくもりのように
   それら全てが 再び一つの唄のような 響きとなって
   眠りゆく 私達の心の奥底へと 静かに沈みこんでゆく。


                                        坂本  誠

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2016年4月27日 (水)

二千八百九十八: ドライブ

       ドライブ


   夜
   車を走らせながら
   僕の左手と君の右手を重ねる。
   
   静かなCDの音楽が車の中を満たす。
   車に羽が生えて、
   ふわりと自然に浮かび上がり、
   
   遠い夜空の闇の奥に吸いこまれてゆく。
   そしてスピードを上げながら、かき消えて、
   僕らは一つの見えない流星になる。


                                        坂本  誠

2016年4月26日 (火)

二千八百九十六:残像

こんばんわ。

私の書いた詩に、あまり前書きを付けることはありませんが、珍しく前書き付きです。

と、いうのも、「詩」というのは芸術のジャンルに入っています。
ですから、人の情操の内に、悲しみとか苦しみとかを芸術的に表現しているケースもよく見かけると思います。
私でも、悲しみとか苦しみなりを表現した詩もあるのですが、やはり、少しマイナー的な要素もあるので、あまり、ブログの方で紹介した事がありません。

ですが、歓喜に偏ってばかりの詩を出すのも、どうかと思ったので、その線の作品も掲載する事にしました。
幾つかやってみようと思います。

前書きはここまでです。

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         残像


   僕は一人で車を走らせている。
   車をとめて、横を見ても、
   君はいない。
   もういない。

   君と出会っていた頃、一人で車を走らせても、
   いつも君が横にいるような気がした。
   本当に君が側にいたんだね。

   確かに君がそこにいたのに、
   君と別れてから、それに気付いた。
   手と手を重ね、この車を一緒に走らせていたのに。

   今、その手に触れようとしても、
   空をにぎるだけ。
   僕の想いの造り上げた君の幻をつかむだけ。
   僕の記憶をつかむだけ。

   実感がないんだ。
   君との別れが持ち去った。

   手応えのない君の身体がそこに座っている。
   今、僕の心の中の君を見ている。


                                        坂本  誠

二千八百九十四:歯車

              歯車


   ガチャン。
   君との最後の電話を切った時、
   受話器を降ろした音が、
   うつろな僕の中にひびきわたった。
   あの音を忘れることはできない。
   その時に僕たちの運命の輪がはずれたのだから。
   音をたてて別れたのだから。
   僕と君の輪は歯車だった。
   歯車はきれいにかみあっていた。
   なめらかにまわっていた。
   仲良く時を刻んでいた。
   だけど僕が悪かった。
   僕の歯車に正しく油をさしていれば良かった。
   僕が毎日正しい生活をしていれば良かったんだ。
   だから僕の歯車は汚くさびてしまって、
   動かなくなった。
   君の美しい歯車をも止めてしまった。
   君をまきこみたくなかった。

   君とずっとかみあっていても良かった。
   でも
   僕たちが又、うまく回転するには、
   長い時間と苦しい努力が必要だった。
   それを怠った訳じゃない!
   『君と別れたら、良い方向にいくだろう』って、
   思った訳じゃない!
   そんな欲は無かった。
   気付かなかったんだ。
   後からわかったんだ。
   「あれが分かれ道だったんだ」って。
   道を選んだ。
   もう元にはもどれない。

   少しずつ少しずつ、
   君の歯車は離れてゆく。
   君はその上に乗っている。
   僕はそれを見ている。
   君は遠くなった。
   君の考えも気持ちも見えていたのに、
   今はもうほとんど・・・・・・・
   二人のあいだに見えない谷ができて、
   広がっている。

   もう声も届かないけれど、
   僕は君に祈りたい。
   「ごめん。
   僕が未熟だった。
   運命を変えるために別れたんじゃない!
   そんな悪がしこい気持ちで別れたんじゃない!
   だから今でも僕は苦しいんだ。
   だけど僕は自分の選んだ道を
   必ず素晴らしいものにしてみせる。
   輝けるものにね。
   君もそうして欲しい。
   幸せになって欲しい。
   最後になるけれど、
   ありがとう。
   二人で一緒に造った思い出は、
   美しかった。
   幸せな日々を分かちあえた。
   だから、
   ありがとう」


                                        坂本  誠

2016年4月25日 (月)

二千八百九十三: 仏の手

       仏の手


   星が全ての方位に
   光のとげを放つように、
   仏の胸の中心から
   光がほとばしる。

   無数の光のとげが
   無数の手になっている。
   その手は丸い。
   光が手なのか?
   手が光なのか?

   仏が振り向く時、
   その無数の手は、
   あおい風になびかれて、
   さざめく草原のよう。

   仏の無数の手は
   宇宙の隅々まで伸びる。
   仏の丸い手は
   僕たち全ての、
   生あるものの全ての、
   心に触れて、
   ぬくもりを残してゆく。


                                        坂本  誠

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2016年4月22日 (金)

二千八百九十一: 竹林

         竹林


   青竹が無限の彼方まで広がっている。
   青竹の間に 黒い空間が浮かんでいる。
   熱帯の島のヤシの葉から こぼれる陽の光は まろやかだが、
   竹林の天頂から こぼれる陽の光は 清冽だ。
   とがった笹の葉のように。

   他の森には四季が あふれ、
   獣たちが姿を現し、
   暖かい気があるが、
   竹林の精は 蒼くて 厳かだ。
   とがった笹の葉のように。

   大風が竹林を揺らす。
   黒い空間が 波を打って
   私に襲ってくるかのよう。
   厳かさと冷たさが
   私を鍛えているかのよう。

   幽玄さが広がっている。


                                        坂本  誠

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2016年4月13日 (水)

二千八百八十七: 光

        光


   僕の外の
   光の輪が
   遠いかなたへ広がってゆく。

   僕の内の
   光の輪が
   僕の中心へ集まってゆく。

   やがて二つの輪が
   時空を越えた場所で一つに出会う。
   輝きを増しながら。

   二つの光の輪が波のように
   とけあい うちあい ひびきあい
   全ての空間を満たしてゆく。

   僕は光の中に浮かぶ。
   光の粒が僕の身体の全ての原子になってゆく。
   僕は未来の空に溶けこんでゆく。


                                        坂本  誠

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2016年4月11日 (月)

二千八百八十四: 海とゆりかご

              海とゆりかご


   朝焼けの
   乳白色の霧の下に広がる海を見ている。

   よせては返す波。
   さざなみの音もよせては返す。
   僕の記憶は
   はるかな幼な子の 昔へと帰って行く。
   よせては返す さざなみが
   僕を乗せた ゆりかごを 揺する 母の手のように思えるのだ。

   今、
   乳白色の霧という時間の向こうに埋め込まれた
   僕のゆりかごは
   海の上で
   波の手と 音の手によって 揺すられている。

   僕は その ゆりかごを見るだけで
   手を触れることは出来ない。

   遠い記憶の向こうの
   僕のゆりかごを見ている。


                                        坂本  誠

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2016年4月 6日 (水)

二千八百八十一:   エデン

      エデン


   どこまでも 広がる草原の上に
   一つの都市が 作られている。
   都市の中の木々は 淡い緑で 潤っている。

   木々に
   多くの果実が
   たわわに実っている。

   多くの果実から
   様々な香りが 
   あふれている。

   芳醇な香りは
   人の首に巻かれた
   スカーフのよう。

   人々は
   そのスカーフに くるまれて
   笑顔を交わし合う。

   人々の笑顔
   そのものも
   絹の羽衣のよう。

   街の中で
   様々な 羽衣が
   おだやかに触れ合う。

   人々の笑顔が 明るく触れ合う街。
   地球最初の街。
   エデン。


                                        坂本  誠

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2016年3月29日 (火)

二千八百七十八: 春

        春


   春を告げる天使たちが
   冷たさの残る大地に
   一人ずつ 一人ずつ
   舞い降りる。

   天使の爪先の
   触れた一点から
   春の波紋が
   やわらかく広がってゆく。

   ぬくもりとやさしさが
   漂いながら
   花々はよみがえりの訪れを
   知らされる。

   花々は目覚め
   ゆるやかな陽射を見ながら
   色とりどりの笑顔を広げ
   春の唄を歌い始める。

   春の唄に
   蝶が目覚め
   花々の上に
   踊り出す。

   春の唄と踊りに
   鳥たちが目覚め
   青空高く
   駆けまわる。

   春の唄と踊りと駆けずりに
   木々たちが目覚め
   おのれの緑のつぼみを
   押し開いてゆく。

   多くの命のいきぶきを
   ふくらませ ふくらませ
   春が広がる。
   春の波紋が広がる。

   いくつもの春の波紋が
   重なりあい ひびきあい
   命の喜びを謳い上げ
   大地を春一色に染め上げてゆく。


                                        坂本  誠

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2016年3月24日 (木)

二千八百七十一: 春

          春


   春の陽射が 春の光が
   野原に
   ゆったりと流れ、

   春の風が
   碧い木々の梢の上で
   歌い歩み、

   春の音が
   空の中で 蝶のように
   まばらに飛び散り、

   春のぬくみが
   庭に
   漂い、

   春の匂いが
   町に
   とけこみ、
  
   春が語る。
   僕の心に 春が
   そよ風のように 吹き流れる。

   春が僕に語る。
   春の心が
   僕の心に触れる。

   春が
   僕にやさしさを残しながら
   透き徹〔とお〕ってゆく。


                                        坂本  誠

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2016年3月21日 (月)

二千八百六十七:   船出

        船出


   船出しよう。
   二人で船出しよう。
   この世の外へゆこう。

   君と二人でいる時
   僕と君は一つの船。
   虹で造られた帆船。

   君と二人でいる時
   僕たちの間に
   音楽が漂っている。

   その音楽の上に
   虹の帆船を
   浮かべよう。

   銀の風に煽られて
   金の糸に操られて
   青い空の上を どこまでも流れてゆこう。

   過去の悔いも、
   未来の憂いも、
   現〔うつつ〕の苦しみも、
   透いた空気の底に
   沈んでいる。

   音の上を滑ってゆこう。
   永遠の未来をすりぬけ
   無限の過去にたどりつくために
   何もなかったあの時を目指して
   船出しよう。


                                        坂本  誠

2016年3月14日 (月)

二千八百六十二:虹

       虹


   いまだ人の訪れたことのない 密林の奥深く 静かに雨が降る。
   そこに陽の光。

   延々と続く緑の海原の上に
   幾つもの虹が おぼろげに いっせいに 立ち上がる。

   まるで幾つもの噴水が集まったかのよう。
   幾つもの鐘が鳴り響いているかのよう。

   この不思議な 虹の園の上に
   音も無く 美女が舞い踊っているかのよう。

   密林の中の 猿や 虎や 象などの野生動物だけが
   その美しさを味わうことができるのだ。

   それは まだ人が手に入れることのできない
   大自然の奥に秘蔵された 神聖な美しさなのだ。


                                        坂本  誠

二千八百六十:波紋

            波紋


   僕は春の公園にいる。
   そこは深い水の底。
   空気と言う名の水の底。
   息の詰まることもなく、
   更に清冽な大気の水を吸う。

   散りゆく桜の花びらに、広げた両の手の人差し指で触れてみる。
   そこから波紋が広がる。
   宙に広がる波紋。
   僕は走る。
   次々と指が触れてゆくたびに、いくつも、いくつも、波紋ができてゆく。
   桜の花びらが両手の五指に触れるごとに
   空中に幾つもの波紋が重なり、広がってゆく。

   走るのをやめる。
   大きな息を吐く。
   大きな波紋になってゆく。
   春の深い水の底で。


                                        坂本  誠

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