« 三千二百二十二: 私の見かけたニュース_No.106 | メイン | 三千二百二十四: 病気に対する病根洞察について »

2018年2月26日 (月)

三千二百二十三: 経営者の心から生じる経営方針を考える

■:はじめに

こんばんわ。

当ブログの方で、イルミナティの情報や、資本主義の根幹であるお金の根本情報などを紹介しています。
それらの金融の根本的な情報を読者の方々に知って頂くのも大事なことかと思うのですが、もっと多くの人々に関連した日々の暮らしに密着している、物流と呼べるもの、つまり、ショッピングですね、ショッピング・レベルで、経済を考えることも、とても重要なことだと思います。

そこで、私の目にした新聞記事をご紹介して、私の読書感想文を書いてみようと思います。
「私の目にした新聞記事」とは、

(以下、『朝日新聞』、朝刊、2018/2/25、4面記事より抜粋引用)
------------------------------------------
●声上げ始めた消費者 「価格破壊」ダイエーの栄枯盛衰
------------------------------------------

です。

最初に結論から書かせて頂くのですが、その結論とは「ダイエーの創業者の方の苦い戦争記憶が、その経営に深く影響しただろう」ということです。

この記事は、ちょっと長いものになりましたので、章立てしています。

/////////////////////////////////
/////////////////////////////////
■:記事紹介

まずは、私の目にした新聞記事から紹介します。

(以下、『朝日新聞』、朝刊、2018/2/25、4面記事より抜粋引用)
------------------------------------------
●声上げ始めた消費者 「価格破壊」ダイエーの栄枯盛衰

メーカーの決定権奪う

P2260176

 

消費者が価格を決める---。
そんな社会をめざして突き進んだのが、ダイエーの創業者の中内功さんだ(1922~2005)。

「価格決定権をメーカーから奪い取るんや」。
「なぜ商品の価格をメーカーが決めてくるんや。消費者を背負った小売りが決めるんや」

人々のもとに商品を行き渡らせて平和を実現したい。
そんな思いで、中内さんは事業を拡大した。

「総合力」ニーズとズレ

「すべては消費者のために」。
そう考えた中内さんの超拡大路線による売り上げ増が、ダイエーの借入金の多さを覆い隠した。

ダイエー関係者は言う。
「中内さんは、神戸の惨状を見て戦争を思い出した。怒りとともに一歩も二歩も先を行ったが、消費者がついてこなかった」

中内さんが神戸に作った流通科学大。
そこの学長で中内さんの長男、潤さん(62)は言う。
「中内ダイエーの役割は、『暗黒大陸』と言われていた流通業をガラス張りにすることだったのです」
流通について『暗黒大陸』と言ったのは、経営学者のピーター・ドラッカーだ。
よく分からない未開の分野、流通。
------------------------------------------
(引用終わり)

特に印象に残った部分を抜粋引用しましたが、他にも引用したい箇所は、参考として、本文に書いていきます。

/////////////////////////////////
/////////////////////////////////
■:他メーカーとの商売上での「戦争」発生

上の引用文には掲載していないのですが、ダイエーの創業者の中内功さんは、戦争に出兵の経験があります。
ですので、最前線で、かなり戦争の悲惨な経験を得たようです。

その後の、中内功さんの生涯に渡って、「この戦争の記憶の影響を、どこかで吹っ切らないといけなかっただろう」と私は感じました。
戦争の記憶の影響によって、彼の人生が操られたように私は感じます。

というのも、紹介した新聞記事にもあるのですが、彼の経営下で、他の家電メーカーや洗剤メーカーの方々と「戦争」と呼ばれる現象が相次いで発生しています。

上記引用文中にもありますが、

「価格決定権をメーカーから奪い取るんや」。
「なぜ商品の価格をメーカーが決めてくるんや。消費者を背負った小売りが決めるんや」

読者の方々も感じるかと思うのですが、上記のセリフに、かなりの語気を感じるのではないでしょうか。
奪い取る」という単語自体も、ある意味、戦争用語の一つと言えるのではないでしょうか。

また、実際には、お客さんである消費者としても、「私達の生活を小売店に背負ってもらってたんです」と、小売店に頼んだお客さんもいないかと思います。

また、仮に、当時のダイエーが、メーカーから価格決定権を取得できたとしましょう。
そして、その後、ダイエーの方が価格を決定するのでしょうけど、多くのお客さんからしてみれば、メーカーが価格を決定しようが、小売店が価格を決定しようが、あまり、消費者の方が気にすることは無いと思います。
大抵の場合だと、多くの消費者にとっては、安ければ、それで良いので。

かようなわけで、幾つかのメーカーとダイエーで「戦争」と呼ばれる状態が発生していたことがわかります。

/////////////////////////////////
/////////////////////////////////
■:ダイエーの経営方針

彼の経営方針を見てみましょう。

---------------------------
人々のもとに商品を行き渡らせて平和を実現したい。
そんな思いで、中内さんは事業を拡大した。
「すべては消費者のために」。
そう考えた中内さんの超拡大路線による売り上げ増が、ダイエーの借入金の多さを覆い隠した。
---------------------------

彼は、多くのお客さんのために、低価格で商品を販売したいようです。
かつ、平和を実現したいようです。
多くの人も知るように、低価格で商品を販売して、大量の品を販売すると、利益は上がります。
その大量の利益を求めているので、彼の「超拡大路線」が実行されたのではないでしょうか。

つまり、表向きとしては、「低価格は多くの消費者を助ける」と言いつつも、その低価格販売による、品の大量販売による、大量の利益追求の姿が「超拡大路線」なのでしょう。

つまり、実際には「低価格を追求する」と言いつつも、実際には、大儲けを狙っていたのだと私は思います。
この状態ですと、読者の方でも、「なんとなく、口で言っていることと、やっていることが反対ではないだろうか?」という疑問を抱かないでしょうか。

これだと、「やっぱり、私達からお金を出させて、利益を得るのは、店の経営者の方なのだ」と、多くの消費者は感じないでしょうか。
「すべては消費者のために」とはならなくなってくると感じます。

/////////////////////////////////
/////////////////////////////////
■:阪神大震災後

ダイエー経営の曲がり角として、阪神大震災の影響が挙げられています。
阪神大震災で、ダイエーは大きな打撃を受けたそうです。

その時の、中内さんは、
---------------------------
ダイエー関係者は言う。
「中内さんは、神戸の惨状を見て戦争を思い出した。怒りとともに一歩も二歩も先を行ったが、消費者がついてこなかった」
---------------------------

ご覧のように、阪神大震災も、戦後かなりの年月が経過していたのですが、彼は戦争の思い出を引きずっていることがわかります。
そして、怒っています。

戦後まもない頃の小売店の経営者というので、中内さんと似た経験を得ていた人も多いことでしょう。
しかし、それは、やはり「戦後」という、ある意味、特殊な時代環境下の出来事だったと思います。

普通、お店の経営者や商人で、巷に言われているような「商人に比較的にふさわしい性格」というのは、たいていの場合、「人当たりが良くて、笑顔が多くて、ほがらかで、お客様と共に生活を楽しみたい、あるいは面白くて便利で幸福な生活をお客さんと共に作っていきたい」等々の性格が、商売上で成功を納めるとも言われているようです(違っている場合や状況もあるかもしれませんが、その点はご容赦願います)。

しかし、内心に戦争の悲惨な記憶を引きずっていたり、それから発生すると思われる厳しい経営となると、この状況だと、店からお客さんが離れて行っても仕方無かったのではないでしょうか。

また「怒りとともに一歩も二歩も先を行った」とありますが、これらの状況から総合的に考えて、「一歩先、二歩先」という明るい未来に向かってではなく、逆の方向だったように感じるのです。

/////////////////////////////////
/////////////////////////////////
■:専門店の台頭

紹介した新聞記事中にもありますが、やがて、総合小売店ではなく、専門店の台頭が始まります。
それらの、専門チェーン店は、いまでも街頭に見られます。
ですから、多くの読者の方々も入店したことがあるでしょう。

それらの店舗に入ってみると、まず、明るい雰囲気が多いです。
店の内部には、多彩な芸術が飾られていたり、暖かそうな色の絨毯が敷かれていたり、天窓からの自然光も多く取り入れられていて、店の内部の作りも、家庭的な雰囲気、つまり、自宅で生活している以上にくつろげるような環境作り(店舗内の作り)をしています。
そして、各店にふさわしいと思われるような、雰囲気の良い音楽を流しています。
そして、それらの店の棚を見ると、店の方針に沿った、カラフルな色をした様々な商品が棚の上に置かれています。

ですから、お客さんの方としても、「この店に来るのが面白くて、良さそうな品を手に入れられるのも、嬉しいわ」という感じで、品を買い求める人も多いと思います。

しかし、過去のダイエー店だと、「低価格にて、消費者に品を提供する」という方針からか、私が上に挙げた専門店での品の陳列状況とは、かなり違う雰囲気があったと記憶しています。

やはり、この状況も、経営者の方の戦争記憶や、それから、にじみ出てくる厳しい経営方針に問題があったように感じます。

/////////////////////////////////
/////////////////////////////////
■:消費者の心理指向

上の状況で「消費者のニーズ」だけではなく、「消費者の心理の指向」というものも学習できるのは幸いなことだと思います。

「消費者のニーズ」というのは、普通、「あの品が欲しい、この品が欲しい」というものです。
しかし、その「消費者のニーズ」の更に、下の部分、基盤に存在しているものがあることがわかります。
その「消費者のニーズ」の下の部分に存在しているもの、それが、「消費者の心理の指向」です。
分かりやすく言えば、「お客さんの心」ですね。
お客さんの方も、「あの品が欲しい。この品が欲しい」という思いがあるからこそ、何かの店に入るわけです。
しかし、それ以前に、お客さんの方が、「何かの喜びを得たい。何かの面白いことを味わいたい」という、心や動機があることがわかります。

その喜びを求める動機が心底にあって、その動機の上に、「消費者のニーズ」であるところの「あの品が欲しい、この品が欲しい」という目的が、お客さんの内心にあることがわかります。

ですから、当時の多くのお客さんでも、ダイエーに行けば、多くのお客さんの欲しがる品々は陳列されていたことでしょう。
しかし、その「消費者のニーズ」の下に存在している、更なる基盤の「消費者の心理の指向」が満たされていなかったことがわかります。

もっとわかりやすい言葉で書けば、「入店した店に、面白くて、喜びのあるような雰囲気があり、それが消費者(お客さん)を満足させるであろうか」ということです。

そして、この「何かの喜びを得たい。何かの面白いことを味わいたい」という「消費者の心理の指向」をつかむための店の雰囲気の土台作りとも言える、経営者の経営方針というのを当時のダイエーに見てみると、私が上に書いているものとなります。

/////////////////////////////////
/////////////////////////////////
■:終わりに

確かに、人には様々な自由が許されているので、もちろん、職業選択の自由もあるのですが、戦争時代から離れた時代になるにつれて、「どうしても、戦争の記憶を吹っ切れずにいる」という人だと、何か別の仕事を選んだ方が良かったのではないかと私は感じます。

確かに、戦争の記憶からにじみ出てくると思われる、厳しい性格がダメなわけではなく、その厳しい性格を活かせる場所があったかと思うのです。

ですから、私が冒頭に掲載した引用文中の最後に、

---------------------------
「中内ダイエーの役割は、『暗黒大陸』と言われていた流通業をガラス張りにすることだったのです」
---------------------------

とありますが、「経営学者であって、世の様々な経営を研究する」という人生が、彼の人生を幸福にしたのではないでしょうか。

世に言われていることに、「全てのことは心から始まる」という言葉があります。
この言葉が遺憾無く、感じられる程の事例が、私達の目にした「ダイエーの栄枯盛衰」だったと思います。

ですから、もし、中内功さんが経営者の道をそのまま歩み続けることを選ぶのならば、「戦争を体験した」という記憶自体は消去できないかもしれませんが、その「戦争記憶の影響を振り切る」ということが、一番重要だったのではないかと感じます。

「全てのことは心から始まる」。
これだったと思います。

また、ある意味、戦争の精神的犠牲者というものを感じた方も多いでしょう。
なので、ここでも、私達は戦争反対の意志を堅くするかと思います。

/////////////////////////////////
/////////////////////////////////
■:付録

ここからは付録的な記事です。

私が冒頭に掲載した引用文中の最後に、

---------------------------
「中内ダイエーの役割は、『暗黒大陸』と言われていた流通業をガラス張りにすることだったのです」
---------------------------

とあります。

これについて書いておきます。
多くの消費者にとっては、お店の棚に並んでいる品物の価格を見ているだけで、「どうして、その品は、その価格なの?」とまで考えることは、あまりありません。

この辺りが、「流通業は『暗黒大陸』」と言われているゆえんなのです。

上の記事からも少しわかると思うのですが、まず、製品そのものを作るメーカーがあります。
そして、今でも、あるのですが、お店に品が陳列される前に、そのお店に品が入る前に「問屋さん(卸売業:おろしうりぎょう」という存在があります。
そして、その「問屋さん」を通して、初めて、お店の棚に品が並ぶことが現代でも多いです。

ですから、上の例で言えば、メーカーで決定された価格の品で100円のものを、流通の問屋さんが125円でメーカーから買ったとします。
そして、その問屋さんが今度は、各地のお店に対して、150円の価格で、お店に売ったりします。
そして、お店の側も利潤を出さないといけませんから、お店に品が陳列される時には、その品の価格が、200円で売られていたりします。

メーカー ---> 問屋 ---> お店
¥100   ---> ¥125
        ¥150 ---> ¥200

この「問屋さんというのは、なぜ存在するのか?」という疑問も読者の方々には湧くかもしれません。
これについては、文末の『過去記事、関連記事、及び、参考文献』の該当URLにジャンプして参照・閲覧もしてください。

簡単に書いておきますと、例えば、戦前の日本では、お店の方が、大型トラックを持っていなかったり、大量の品を手に入れても、それを輸送する機関などが不足していました。
ですから、大型トラックや輸送船を大量に所有していた、昔の輸送関係の会社やグループが、この「問屋」と呼ばれる存在になっていきました。

このような仲買(なかがい)のシステムが、現在の流通業界にも多々あります。
ですが、現代では、大型スーパーマーケットのチェーン店等は、自分達で大型トラックのドライバーを持ったり、あるいは、大型トラックを持ったり、あるいは、以前は、問屋さんにしか無かったような、巨大な配送センターを自分で所有して、お店自身が、問屋さんの機能を並行して所有しているところも増えてきています。

大型スーパーマーケットのチェーン店等で非常に価格が安くなっている商品等は、「自前で問屋さんをも兼ねる」というケースが背後に絡んでいることも原因の一つとなっています。

ちなみに本の価格だと、本の価格には、以下のものが分けられて、盛り込まれています。

・著者さんの著作費用(印税分)
・出版社の取り分
・出版社の委託する印刷会社の取り分
・書籍問屋(取次)の取り分
・各々の本屋さんの取り分
・その他の関連会社、あるいは、関連者の取り分

等々が一冊の本の価格に反映されています。
私達が目にする、本の価格というのは、このような状態となっています。
自費出版だと違うケースも出てくるようです。
これらについても、価格改善の検討が業界でなされているところです。

本記事は長くなりましたが、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。


(以下、過去記事、関連記事、及び、参考文献)
***************************************
***************************************
『二千七百八十:本屋さんを考える』
http://hikari-to-kagayaki.blog.bbiq.jp/blog/2015/12/post-da80.html

『二千七百九十二:本屋さんを考える_No.2』
http://hikari-to-kagayaki.blog.bbiq.jp/blog/2015/12/_no2-61fa.html
(以下、『朝日新聞デジタル』、2015/12/24記事より文章を引用)
------------------------------------------
●アマゾンが本の値引き販売 根強い警戒感、参加1社だけ
http://www.asahi.com/articles/ASHDD6H53HDDUCVL01W.html?iref=comtop_rnavi_arank_nr01
------------------------------------------
(以下、『wikipedia』より引用)
------------------------------------------
●問屋
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%95%8F%E5%B1%8B


問屋(といや、とんや)とは、現代における一般的意味としては卸売業者を指すが、歴史用語及び法律用語として用いられる場合は異なる意味を持つ。
------------------------------------------
(引用終わり)

『二千九百七十二:物流と本の販売を考える』
http://hikari-to-kagayaki.blog.bbiq.jp/blog/2016/08/post-3217.html


                                       坂本 誠

Powered by Six Apart
フォトアルバム