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2017年2月22日 (水)

三千八十: 旅先の宿で(独白)

なんとなく、旅先の宿で筆を走らせてみる。
人は、いつもとは違った空間に入ることが大切だ、と思う。
だから、瞑想と呼ばれる行動は人里離れた寺ではなく、旅館の宿でも出来ることに気付く。

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旅に出て、酒を飲まなくなった。
けっこう、飲めるタイプであり、いったん飲んでしまうと、旅なので、ハメを外してしまい、飲み過ぎて、次の日の旅程を崩すことがしばしばあった。
だから、旅先では飲まなくなった。

軽い夕食を取りながら、テレビのチャンネルを回す。
自分の合わせるチャンネルは、たいてい地方版ニュースだ。
そして、全国版ニュースが始まると、たいていテレビを消してしまう。

なぜかと言うと、旅人にとって、旅先での地方ニュースというものを見る機会が、ほとんど無く、珍しいからだ。
だから、旅先の地方版ニュースを面白く感じてしまう。
その代り、全国版のニュースは、全国どこに行っても見られるため、旅人にとっては、あまり面白くない。

風呂の後、軽く、旅館の中を散策した後、自室にこもる。
何気なく、旅館のフロントに置かれていた、いくつかのチラシに横目を流していると、なんとなく、耳が冴えてくる。

気づいてみると、エアコンの音が聞こえる。

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それ以外に聞こえるものと言ったら、自分の呼吸する音だけ。
日常生活だと、エアコンの回転する音は気にならないが、旅先の静寂の中だと、妙に、その静かな音に聞き入ってしまう。

その時に感じるのだ。

 「日常から切り離された、常ならぬ空間にやって来たのだ」

と。

完全に日常とは違った味が必要なのかもしれない。
しかもシラフだと、余計にその雰囲気に浸(ひた)れる。
だから、旅先で酒を飲まずとも、旅を十分に味わえるようになった。

そして、このまま無音に近い、エアコンの音に吸い込まれるような空間の中で、暖かな夜の闇の中に、自分の意識が吸い込まれ、眠りの水底に、静かに誘(いざな)われるのだろう。


                                        坂本  誠

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