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2016年10月31日 (月)

三千十: 盗まれた時間(独白)

秋の夜。
大型商業施設に訪れる。

昼間は大勢の人で賑わったかもしれない。

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しかし、通りを歩いている人の数は、徐々にまばらになってゆく。
少しずつ少なくなってゆく人々の姿が、揺れ動く影法師のようだ。

フライド・ポテトをくわえながら、窓から施設の外を眺める。
秋の夜は長い。
そして静かだ。
施設の内部には、音楽が流れている。
それらの音楽は、秋の世の静けさを助長しているかのようだ。

時が止まっているかのように思える。
いや、自分で時を止めたのかもしれない。
その、自分の止めた「時間」そのものを、何時間か、味わってみる。

秋の夜の静けさに、魂が抜き取られそうな気がする。
要するに、多分、今、自分は瞑想をしているのだろう。
周囲の人は、「あの人は、ぼんやりしている」と見るだろう。

なぜかはわからないが、大型商業施設で秋の夜を味わいたかった。
秋の夜の美しさを堪能するためには、「特に理由は無いのだけど」という理由を作って、まばらになってゆく人並みを見ながら、何気なく、夜空にかかるペガサスを見上げるのが、乙なのかもしれない。


                                        坂本  誠

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