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2015年4月11日 (土)

二千四百五十三: コンピューター将棋と妙手を考える

コンピューター将棋と妙手を考える機会がありました。
まず、私の気になったニュースをご紹介させてください。

(以下、『YAHOO! JAPAN NEWS』、2015/4/11記事より引用)
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●「将棋電王戦」最終局はソフト側21手で電撃投了、3勝2敗でプロ棋士が勝ち越し
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150411-00000029-mycomj-ent

マイナビニュース 4月11日(土)11時56分配信

5人のプロ将棋棋士がコンピュータ将棋ソフトと団体戦で戦う「将棋電王戦FINAL」の第5局・阿久津主税八段 対 AWAKEの対局が11日、東京・将棋会館にて行われた。

第5局は10時49分、「第2回将棋電王トーナメント」第1位の将棋ソフト・AWAKEが、21手で投了し、両陣営勝ち越しをかけた第5局は阿久津八段が勝利。
「将棋電王戦FINAL」はプロ棋士が3勝2敗で勝ち越す結果となった。
将棋は、先手の阿久津八段は、序盤で角交換四間飛車と呼ばれる形に進めたが、そこからあえて自陣に隙をつくって角を打たせる特殊な作戦を選択。
その直後にコンピュータ将棋ソフトAWAKEが21手で投了するというハプニングが発生し、対局開始から1時間も経たずに終局となった。
消費時間は阿久津八段が13分、 AWAKEが30分。

AWAKEは「将棋電王戦FINAL」出場に先立って、アマチュアと対戦する企画に出場していたが、その際本局と同じ展開から敗れており、第5局でも同じ形を阿久津八段が採用するかどうか注目が集まっていた。
開発者の巨瀬亮一氏は、アマチュア対戦企画の敗戦と同じ形に進んだら投了すると決めており、開発者の意思として投了を選択したという。

終局後の会見で阿久津八段は「(AWAKEの弱点は)ソフトを貸し出してもらって3日目か4日目ぐらいに気づきました。
(特殊な作戦について)普段やらない形なので葛藤もありましたが、一番勝ちやすい形を選ぼうと思いました。
(団体戦勝利については)素直にうれしいという感じではないですが、とりあえずはよかったなと」と振り返り、AWAKEの開発者・巨瀬亮一氏は「△2八角と打ってしまったら▲2六香と上がられたところで投了しようと決めていた。アマチュアが指した形なのでプロが指してくるかどうかはわからないと思っていた。こうした穴があるのは、しかたがないところもある。最初から勝ちにはそれほどこだわっていなかった」「アマチュアが先に指した手なので、プロは指してこない可能性もあると思った」と語っている。(、、、以下、省略)
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(引用終わり)

私も長いこと将棋を指していないのですが、この記事は気になりました。

20110921162916


最近のコンピューター将棋がかなり強い事は将棋好きの人の間でもかなり知られています。
ですから、プロの棋士もコンピューター将棋に負けている事が報道されています。

ですから、この対局は棋士の間でも、後日のためのかなりの研究の対象となると感じます。
コンピューター側の負け方に注目されるでしょう。
将棋をあまり知らない方のために書くと、上記記事の「角交換四間飛車」というのは、ほとんどの人が指さない手段です。
将棋の好きな人ならば、やはり人気のある手段を指します。
例えば、「矢倉」とか「四間飛車」とか「穴熊」とかの有名な手段を使います。
この「有名な手段」は「定石(じょうせき)」と呼ばれています。

ですが、この定石と呼ばれる対戦方法は、たいていの本屋に行ってもわかるとおり、数多くの書籍が出回っています。
ですから、かなり多くの棋士が定石を研究しています。
なので、コンピュータ将棋ソフトの開発者の方も、この定石をプログラム化したものをコンピューターにインストール済みです。
そして、開発者の作ったソフトがそのインストールされたプログラムを参考にして、対戦相手の打ってくる手を予想します。
ですから、人間の棋士の間で好まれているタイプの定石を棋士が使うと、多くは人間棋士が負けてしまう事がわかります。

なので、今回の勝負でわかった事は、「人間の間で、ほとんどなじみの無い手段の戦法を採用すると、コンピューターが予想できず、投了するパターンがある」という事でしょう。

つまり、人間棋士の間で知られている有名な定石の戦法ほど、コンピュータにとって勝ち易いという事になるでしょう。
逆に、人間棋士の間でほとんど知られていない戦法ほど、コンピュータにとって負け易いという事になります。

また、ここから予想できる事があります。
「記事中のコンピュータ将棋ソフトには、『角交換四間飛車』の一連の手段が、ほぼ、インストールされていなかっただろう」という予想です。
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ここから思いついたのが、将棋の棋譜での「妙手(みょうしゅ)」でした。
以前も書きましたが、妙手と言うのは好手の一つです。
しかし、ほとんどの人にとって、この妙手は気付きにくいものとされています。
ですから、「妙(たえ)なる手」、つまり、非常に素晴らしい一手、妙手と言われているのでしょう。

上のコンピューター将棋の対戦も、なんとなく、この妙手に似ていると人は言うかも知れません。
つまり、多くの棋士の気付きにくい方法で、コンピューターに勝ったのです。
ですから、この対戦自体が妙手と言えるかも知れません。
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妙手の傾向を考えても面白いものがあります。
一般に妙手が多いのは、駒を打つ時に多いような気がします。

将棋は対戦中に相手の駒を取得でき、そして、その駒を盤上に打つことが出来ます。
ですから、普通の駒の動きよりも、「打つ」という手段において、多彩な動きがありますから、打つ手に妙手が多いような気がします。

そして、たいてい、大駒と呼ばれている「飛車」や「角」よりも、「歩」とか「香車」とか「桂馬」のような比較的、軽い感じの駒の打つ手に妙手が多いような気がします。
そして、大駒でも、飛車よりも角の方に妙手が多いような気がします。

なぜ、そうなるのかは私もわかりません。
打つ手が多いのが、比較的、駒を取ったり取られやすい、小さな駒の方が多いからかもしれません。
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そして、将棋好きの人が言うには、「たいていの妙手は右脳の作用によって生まれる」とか言われています。
基本的に、将棋は左脳のゲームだと言われています。
左脳は計算エリアです。
ですから、左脳の動きや働きが将棋にはよく使われます。
また、将棋の基本は左脳ゲームですから、コンピュータでも得意とするところです。
コンピューターは計算の世界ですから、当然の話になります。

しかし、人間の棋士が対戦中に「妙手」を思いつく時、つまり、閃く一瞬ですが、これは右脳の働きだと言われています。
右脳の働きは直感とか、感情とか空間での物の動きを得るエリアです。

ですので、冒頭に書いた記事の対戦でも、多くの棋士は普通は左脳を使って対戦するところを、その対戦では右脳を使って勝ったとも言えるでしょう。
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現代社会では、「左脳の動きにおいて、コンピューターの方が人間の左脳の動きより勝った」とも言われています。
コンピューターの進歩が目覚しく、かつ、対戦中だと、コンピューターは光の速さで計算し、人間を押してきますので。

ですから、冒頭の記事のように、「コンピュータ将棋ソフトとの対戦方法には右脳プレーが有効だ」とも言えるかもしれません。
今後は右脳活用により、コンピュータ将棋ソフトとの新たな対戦方法が見つかったと言えるかも知れません。

やはり、その対戦方法とは、冒頭の記事や妙手のように、気付きにくい手段と言えるでしょうか。
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また、思い出して見れば、コンピュータ将棋ソフトの指し方には妙手が少ないような気がします。
確かに、好手と呼ばれるような差し手をコンピュータ将棋ソフトは指してきます。
しかし、どことなく、計算尽くめのような一手が多いです。

ですから、今まで、コンピュータ将棋ソフトの差し手に「妙手」と呼ばれるだけの指し手が少ないような気がします。
コンピュータ将棋ソフトは、かなり先読みをして、次の一手を打ってきます。
なので、コンピュータ将棋ソフトが独特な手を指してきても、「意外性」と言うよりも、「先読みにより計算され尽くした次の一手」を指してくるので知られています。

これと人間の出してきた妙手は違いがあります。
人間の妙手の場合は、頭に脈絡も無く閃くとも言われています。
つまり、計算尽くめではないのです。
自然に頭の中に、「次の一手」が閃き、それを行うと「妙手となり、後の戦いを有利にさせた」というケースが多い筈です。
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ここまで来ると、将棋と言うゲームを超えて、「これからの右脳開発分野が将棋の盤上にある」とも考えられるかもしれません。
右脳の働きは、まだあまり進んでいないと聞きます。
また、チェスや囲碁や将棋でも、コンピューターソフトを作成して、人間の脳と対比なりが考慮されてきました。
しかし、それはあくまで、左脳の分野においての研究でした。

今後は、このような事を契機にして、「将棋はゲームだけではない。将棋は、コンピュータ将棋ソフトと人間の右脳を使う事により、人間の右脳までも研究する分野である」と、分野の拡張までも行われるような気がします。

 

                                        坂本  誠

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