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2015年3月25日 (水)

二千四百四十二: 『人造人間・HAKAIDER』を見て

映画の話題を書いて見たいと思います。
『人造人間・HAKAIDER(ハカイダー)』を見る機会がありました。

この「ハカイダー」というのは、漫画家、石ノ森章太郎原作の『人造人間・キカイダー』に登場する悪役として有名です。
テレビシリーズでも、『人造人間・キカイダー』が放映され、今でも根強い人気を誇っており、時々リメイク版が作られたりしています。

写真は同映画からの引用です。

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『人造人間・キカイダー』のあらすじは有名なので、知っている人も多いかと思われるのですが、少しだけ書きます。
人造人間・キカイダーはロボットとして光明寺博士に作られます。
悪の組織とされる『DARK』が地球支配を考え、それを実行しています。
キカイダーは『DARK』と戦うようになります。
そして、このキカイダーを倒すためだけに製造されたのがハカイダーです。
当然、劇中でキカイダーとハカイダーが戦います。
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このハカイダーが、テレビシリーズに登場して以来、日本の特撮シリーズやアニメに現れる、いわゆる『悪役』と言われる存在の見方が変わって来たことでも有名です。

それまでの特撮シリーズや日本アニメの中にも、「悪役」という役柄は頻繁に登場して来ました。
しかし、それらの悪役の存在は、何もポリシーが語られる事無く、ただひたすら、正義と言われる存在が悪役を倒していく事でも知られていました。

ところが、この「ハカイダー」の近辺から、悪役とされている存在の考えやポリシー、感情、意志が語られていくようになります。
それまでの特撮やアニメは勧善懲悪ものが多かったです。
しかし、やがて、悪役の心理が特撮やアニメでも語られるようになって来ました。

これ以降にも、ガンダム・シリーズでも、もはや劇中には「悪役」とされる存在が少なくなってくるのに気が付きます。
ちょっと見たら、ジオン公国のシャア・アズナブル等が「敵役」なのですが、そこには、もはや「悪役」というイメージがほとんどありません。
あくまで「敵役」であり、「悪役」というよりも、彼等は彼等なりのポリシーを持って生活と行動をしています。
ですから、ひょっとしたら、ジオン公国の人間も悪役だったかも知れませんし、地球連合側の人間も戦争をしていますから、地球連合側の人間も「悪役」と言えたかもしれません。

要は、この頃から、特撮やアニメにも、ヒューマン・ドラマの様相が多くなってきます。
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ですから、『人造人間・キカイダー』を見ると、そこには、奥深い内容が存在しています。

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映画の方の『人造人間・HAKAIDER(ハカイダー)』は、『人造人間・キカイダー』のリメイク版ではないのですが、ハカイダーの個性を脚色し、映画用に新たにストーリーが作られて放映されました。

ハカイダーの誕生仮定や劇中のストーリーにも新たな脚色を添えられて、新装版として映画化されたものです。
しかし、ハカイダーの個性までは、ほぼ変更されていません。

ですから、私達は当映画を見ても、ハカイダーの個性を知る事が出来ます。
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元々、ハカイダーは悪役として製造されたので、かなり個性あるキャラクターとして描かれています。

テレビシリーズ『人造人間・キカイダー』でも、ハカイダーは宿敵キカイダーを倒すため「だけ」に作られました。
ですから、ハカイダーはキカイダーを倒す事だけを考えており、他の様々な事は考えません。
ですから、単刀直入でストレートな個性をしています。
逆に言えば、「(目的とは関係の無い)曲がった事を嫌う存在」とも言えるわけです。
なので、ハカイダーの個性を感じると、意外にあっさりしている事に人は気が付くでしょう。
ハカイダーは、自分の行動に対して悩みません。
実にあっさりしています。

彼の機械の心(?)のままに、自然な行動をしているだけであり、悩みを持たないようです。
「自分のやるべき事以外に全く悩まない」というのは、これは一言で言えば、幸福かもしれません。
それだけ、人間のように、あれやこれやと様々な事に対して悩まないからです。
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彼のポリシーを感じられるセリフを劇中から以下に引用します。

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▼ロボット兵士:
「た、助けてくれ! 俺は、ただ、上からの命令で、、、」

■ハカイダー:
「自分の意志を持たんのなら、生きていても仕方あるまい」
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元々、ハカイダーは悪役でした。
上のセリフも悪役でなければ、これほどストレートに言えるキャラクターもいないかもしれません。
劇中のハカイダーでなくても、上のセリフをストレートに言える人は、あまりいないかもしれません。

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また、この映画『人造人間・HAKAIDER』には、ハカイダーとは別に悪役が出てきます。
ハカイダーが悪役として登場したわけではありません。

劇中の悪役は別に設定されました。
ハカイダーが孤島で目覚めてから、ハカイダーはジーザス・タウンという街に行きます。
そのジーザス・タウンでは、偽善が横行する偽りの平和社会が作られています。
組織のトップの人物は、自分に刃向かう者の頭にICチップを埋め込み、それらの人々の人格と思考を奪っています。
つまり、組織のトップの人物は独裁者です。

また、普通、「正義の味方」と言うと、どことなく、昔から白っぽい衣装やコスチュームを身に着けて、劇中に現れたものです。
しかし、この映画は違いました。
つまり、悪役の側がほとんど白の衣装を着ています。
そして、建物も白いものが多い。
そして、劇中で正義の側と思えるような存在のコスチュームは、ほとんど黒です。
ですから、私達の色の思い込みも逆転させているところが、この映画ならではです。
また、悪役側のロボットとして、ミカエルというロボットが登場し、ハカイダーと戦います。

上の映画設定データの「ジーザス・タウン」とか「ミカエル」の名称を見てもわかるとおり、悪役がそれらの名称を偽善を行う時に使用しています。
私が思うに、この映画の作者は宗教が好きとか嫌いだとか、あまりそんな感情は無いように感じます。
私も、日頃は、「宗教が好きとか嫌いだ」とか、あまり考える事はありません。
ただ、この映画の作者としては、新しい感じでの悪役の個性を与えるために、この映画の設定を与えたのでしょう。

従来より、古(いにしえ)より伝わる神聖そうな名称を使う存在には、2つのパターンがあります。
一つは、古式ゆかしく、誠意を持って、それらの名称を使うパターンです。
そして、もう一つのパターンは、古来より伝わる神聖そうな名称を偽善の元に使用するパターンです。

映画『人造人間・HAKAIDER』の場合は後者のパターンでした。
後者のパターンだと、偽善の元に古来より伝わる神聖そうな名称を使うわけですから、やがて、人々がその嘘と矛盾を知り始めます。
つまり、偽善の元に古式ゆかしい名称を使用する場合には、かならず、どこかに嘘と矛盾が生じ始める事がわかります。
なぜなら、その存在の心の内側と外側が違っているからです。
このズレがやがて、人々に知られるからです。
いずれにしても、「悪役」のパターンというのは、「その心の内側を隠しておき、人々に嘘をつく」というケースであることがわかります。

この映画中に出てくる「悪役」を見て、現代の私達が感じたり、考える事も多いかと思います。
従来、『正義の味方』というと白いコスチュームを着ていたり、あるいは立派そうな名称を付けたり、唱えたりしていますが、「それらに隠蔽されたものは何なのか?」と、私達に疑問を与えられているような気がしました。
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というわけで、映画『人造人間・HAKAIDER』での、ハカイダーとミカエルとの戦闘シーンでのセリフを引用します。

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◆ミカエル:
「人にせよ、ロボットにせよ、秩序のための規律は守らねばならない」

■ハカイダー:
「くだらん! 誰が作った規律だ? 俺はそんなものを受け入れた覚えは無い」

◆ミカエル:
「私は正義。秩序を守る者。正義の名の下に、お前を処刑する!」

■ハカイダー:
「確かに、、、貴様が正義なら、俺は悪だ」
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これも、本来、悪役とされたハカイダーでなければ、このようにズバっと、単刀直入な雰囲気のあるセリフを言わせるようなキャラクターも世に少ないかもしれません。

また、上のハカイダーのセリフも考えてみます。
貴様(ミカエル)が正義なら、俺は悪だ」というセリフです。
これは見方を変えるならば、「貴様(ミカエル)が悪なら、俺は正義だ」という事になります。
この言い回しにも面白いものがあると感じます。

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ともかく、映画『人造人間・HAKAIDER』中のハカイダーを見て感じるのですが、このように、豪傑(ごうけつ)というか豪放磊落(ごうほうらいらく)な雰囲気を感じる人も多いかと思います。

映画の中の「豪傑」というイメージに、どこかあっさり、さばさばとして、後腐れないものを感じる人もいるのではないでしょうか。

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                                        坂本  誠

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